はいじの感想ノート

語彙力少なめの雑多なレビューブログ

『どうぶつの国』レビュー

☆☆☆☆☆☆☆☆☆★

星9/10

 

[全14巻]

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個人的には星10の作品なのだが、クセのある描写が多いので、見る人を選ぶ作品になるかもしれない。

でも、すっごく面白い。同じ作者の『金色のガッシュベル』を見て、好きだった人はぜひ読んでみてほしい。私はガッシュベルよりもこの『どうぶつの国』の方が作者の描きたいことを感じた。

 

あらすじ

どうぶつの国、という人間以外の動物しか住まない所に、人間の赤ん坊(名をタロウザという)が突然現れ、タヌキに引き取られて育つ。成長していく過程で様々な出来事に逢い、肉食と草食の共存する術を探り、共存を反対する敵と戦う。

どうぶつの国 - Wikipedia wikiもどうぞ。

 

オススメポイント

 まず、物語がダラダラ長くなく、14巻で完結している。

この作品の前の『金色のガッシュ!!』では、どうやら作者と編集との間に色々いざこざがあったらしく。(作者が怒って机を叩き骨折した、などの逸話もあるので、きになる方は検索してみてほしい。)不本意な作品展開を強いられていたらしい。確かに、ガッシュベルの最後の方は ダラダラと引き延ばされていた感があった。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51f4KB%2BOH9L._SX320_BO1,204,203,200_.jpgガッシュベルも面白かってけどね!

だから、彼は今作では恐らくやりたい事、描きたいことをきちんと出していたのではないだろうか。

この作品は少年向けだが、ちょっと考えさせられることがテーマになっており、動物を食べる、とはどういう事か、を私たちに問いかけている作品だ。

この物語に出てくる動物は、我々の知っている動物よりも進化していて、自分たちのコミュニティを持ち、会話ができる高度な生物だ。

この作品に出てくるヒトは、みんなすべての生物の言語がわかる設定になっている。だが、他の動物は自分たちの言語はわかるけど、他の生物の言語が理解できない。

言語が理解できないからこそ、肉食獣は普通に他の生物を食べるのだが、言語が理解できるようになった時、果たして生物はどう行動するのか。

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肉食の事について書かれているわけだが、決して肉食批判をしているわけではなく、生きる上で、食べる、という行為について考えさせられる作品になっている。

色んな形態を持つ者の違い、そして、その共存のあり方について考えるきっかけをあたえてくれる作品になっている。

この作品は、最初の一巻と最後の一巻では全然違う要素の物語となっている。最初の一巻はタヌキの子育てだし、途中では共存への模索を頑張るし、最後は戦いでバトルをするし。違う感じのピースだが、全部欠かせない作品のピースなので、読むならぜひ最後まで読んでほしい作品だ。

どうぶつの国』はあまり発行部数が芳しくなかったらしい。肉食草食などのちょっと重い話が売れ行きに影響したのではないか、と思うが、本当に素晴らしい作品なのでぜひ読んでみてほしい。