『Petshop of Horrors』レビュー(アニメ版)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
星10/10
OVA全4話
今回紹介したいのは耽美なタッチで書かれた動物型(?)ホラー漫画だ。
チャイナタウンという単語からあなたは何を想起するだろうか。美味しい中華料理?中国語訛りの賑やかな呼び込み?それとも不思議で不気味な雰囲気?
横浜の中華街とかに行った事がある人ならわかると思うが、あそこは日本なのにまるで日本じゃないような雰囲気を醸し出している場所だ。大通りから一本外れた小道に入ると出られなくなるのではないか、という迷路のような路地。怪しい占い屋や、変な匂いのするお香を売っているお店、普段見慣れない商品が並べられていて何が売られているのか検討もつかない商店、どこか嘘くさい笑顔で客引きを頑張っている中国人らしい店員さん。どこか現実離れした場所で、ここが実は日本の法律が適応されていない場所なんだ。と説明されても信じてしまうような独特の空気感を持つ場所。それが中華街という場所だ。
映画『グレムリン』でもアメリカの中華街から変なモンスターを買ってくるシーンで始まるので、世界中どこに行ってもチャイナタウンというのは、胡散臭くて、でもどこか惹きつけられる物のある場所、として認識されているのかもしれない。
*このレビューは基本的に『Petshop of Horrors』のアニメ版のレビューです。
あらすじ
アメリカのチャイナタウンにひっそりと存在する伯爵D(カウントD)のペットショップ。そこのペットショップでは世界中の珍獣猛獣、ありとあらゆる動物が手に入ると噂される。刑事であるレオンは動物に咬み殺された跡のある被害者がここのペットショップで動物を購入した、という情報を手に入れてペットショップにやってきたが……
ポイント
アニメが各20分ほどで全4話で、全て1話完結なので非常に見やすいので大変オススメ。すぐに見られるのでちょっとした暇つぶしにぜひ見て欲しい。特にホラーや後味あまり良くない系の作品が好きなら好きだと思う。
私が最初にこのアニメを見たのが小学生の頃、近所の仲よかったお姉さんの家で見たのがすごく印象深かった。美しい世界観、残酷な物語。恐ろしいけれども目が離せない魅力がこの作品にはあった。
最近、ふと思い出して改めて観たが、改めて大きな感動があった。
このアニメシリーズはそれぞれ色んな愛の形をテーマに据えて話作りがされている。
家族愛、恋愛感情。しかし、このアニメに出てくる人々の愛はどれもどこか歪んでいる……
D伯爵のペットショップに訪れる客の多くは大切な者を失って、それを補う為にペットを探しにくる。しかし、D伯爵に紹介されたペットはなぜか死んだはずのあの人に似ている。そのペットに惹かれた顧客たち、ペットを飼うために伯爵からいくつかの条件を提示される。
そして、大体の物語の主人公たちは、その大きすぎて歪んだ愛、故に身を滅ぼしていく、救いのないエンディングになっている。
自業自得で、ある意味痛快な物語が私は好きだからこの作品がとても好きなのだと思う。
作品は元々女性向けのホラー雑誌で連載されていた漫画なので、世界観がとっても繊細で美しい。(元々の漫画はもっと色々なストーリーがあるので気になった人は是非。)
特にアニメ第2話は人魚の話なのだが、その作画と音楽がとても秀麗で、思わずサウンドトラックを買ってしまった。
セル画時代の独特の暗さのある雰囲気と物語がとてもマッチしているのだ。
まとめ
鬱くしい世界とか、後味の悪い物語とか、ホラーとか。そういうものが好きな人は是非見て欲しい。
この記事ではアニメの話しかしていないけど、漫画版もとても最高。
あと、サウンドトラックもめちゃいいよ!!!