『メイキャッパー』レビュー
☆☆☆☆☆★★★★★
星5/10
[全3巻]
この『メイキャッパー』は、『グラップラー刃牙』の作者、板垣恵介が描いたメイクを題材にした少年(?)向け漫画だ。
子どもの頃読んでいた少女向け雑誌の「ちゃお」でも一応メイクを描いた漫画はあったが、メイクアップアーティストをメインに描いた漫画はなかった気がする。
メイクの漫画があったとしても、連載作品でずっとメイクの話をしている漫画はなくて、基本的には少女の興味を持つ項目の一つとして、数話に一回描かれていたのがほとんどだったと思う。
めちゃモテ委員長とかがそんな感じだった記憶がある...ぞ?
前情報なしの、タイトルだけで読んだときは、中身とのギャップがあって、ちょっとびっくりしたものだ。もっと可愛らしい話かと思った...
あらすじ
主人公の美朱咬生が、独自の凄技メイクテクニックを使って、彼の元を訪れる人々の人生を変えていく......
メイキャッパー - Wikipedia 全3巻しかない漫画なのに、wikiではすっごく詳しく書いてある。よっぽどのファンが描いたと思われる。
ポイント
べつに面白くない漫画ではない。メイクを題材にするっていう発想自体面白いと思うし、登場するメイクの技はすごくユニークなものだ。
目の中に手を突っ込んで、独特なツボを押して細胞を活性化させたり。(真似しないでね、とはどこにも書いてなかった!時代を感じる!!)
ワニの糞を使ってニキビを直したり。(ワニの糞にはタンパク質分解酵素が多く含まれており、それがニキビを綺麗にするとかなんとか。)
なんかメイク道具の入れ方がほんと「懐!!!」って感じだったり。(正直もし自分がメイクされるとしても、他人の体にずっと触れてたメイクブラシでメイクされるのって嫌やわ。)
ほんとうに独特な漫画。刃牙の作者か〜〜〜みたいな感じに納得して読める作品とも言える。
メイク漫画とはいうものの、実用的なメイク術はほとんどない。でも、そんな大げさなメイクアップ術は見ていて楽しい。
バブリーな感じのおしゃれの仕方も、時代を感じて個人的にはけっこう好き。
ただ、メイクってやっぱり色味が命なので、モノクロの漫画でメイクものをやろうとするのに限界を感じる。
それに、メイクで変わるといっても、どうしても仕上がりが同じようになってしまう。
料理漫画とかは毎回料理が出てくるが、材料も調理法も違うので見ていて飽きない。だがメイクで顔が変わるといっても、人間の顔は所詮人間の顔なので、代わり映えしないのだ。
作者もアイディア出しに頭をひねった、と語っていたので、チャレンジ性のあるテーマに挑んだとは思う。
個人的にはストーリーもちょっと納得できない部分がある。
主人公の元を訪れる人たちは、美人やイケメンになって他の人を見返したい、と言って彼の元を訪れるわけだが...
メイクなんて落としてしまえば効果がなくなってしまうので、そんな一時的な美を本当に「ハッピーエンド」としていいのだろうか。
それに、美っていうのは結局、自分で頑張らなければ手に入らないものだと思うので(筋トレとか、整形にしても費用や痛いのを我慢する努力が必要だ)、それを他人に頼んで一時的な快楽を得てしまって本当にいいのだろうか...と考えたりするのだ。